2010年5月14日金曜日
バーチャル空間での説得、効果は?
「自殺者12年連続3万人台」は、今日の注目ニュースの一つだ。警察庁の発表によると、2009年1年間に日本全国で自殺した人は、前年比1.8%増の3万2,845人だったという。
12年連続で3万人を上回る自殺者を出し続ける日本は、先進国の中で異例の存在だ。その内訳を見ると、男女比では、71.5%と男性が圧倒的に多い。年齢別では、戦後第1次ベビーブーム及びその直後に生まれ、高度成長期の真っ只中に育った50代(19.8%)と60代(18.1%)が1、2位を占める。そして、20代、30代の自殺率が、統計を取り始めた1978年以降で最悪という。
この状況を受けて、「不安や孤独感を抱き、自殺を考える若者を救うため、インターネット上で短い言葉を発信し合うツイッターなどのサービスが活用され始めている。ふともらす「つぶやき」を受け止める思いやりで、死のふちに立つ者を踏みとどまらせようという試みた。」(『朝日新聞』:自殺願望の若者、つぶやきが救う ネットで孤立防ぐ試み)http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201005130267.html
最近、ちょうど「Twitterの可能性と力」についていろいろと考えているので、この記事を特に注意深く読んでみた。自殺対策に取り組む人たちの気持ちはよく分かるが、『朝日新聞』の記事を読んで、反射的に、四川のある若い役人、馮さんのことを思い出した。
2008年5月12日に起きた四川大地震で、馮さんは8歳の1人息子を失くした。そして、地震1周年が近づく昨年4月下旬のある深夜、馮さんは息子の後を追い、自宅で自ら命を絶った。この悲劇はすぐに全国ニュースになったが、馮さんの役職や、震災後の「心のケア」の問題のほかに、彼は自殺直前にBlogに遺書を公開したことが、大きな理由だった。
その遺書をリアルタイムで読んだあるネットユーザー(中国語で「網友」という)は、馮さんが自殺しようとする気持ちを察し、思いとどまらせようと一生懸命説得したが、馮さんは、「さようなら。永遠にしよう」という最後の言葉を残し、ネットから消えた。そのBlogに残された会話の記録を見ると、今でも痛々しく感じる。
言葉の力と限界を深く考えさせられる事例だった。こんな場合、ネットの同時性を生かして、すぐに通報し、リアル世界の人間の力を借りて自殺願望者を保護してもらうのが、一番効果的かもしれない。
2010.05.13
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